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聞こえないこと

「聞こえないこと」のグラデーション
「聞こえない」 というと全くの無音をイメージされる方が多いかもしれません。
「音のキホン」「耳のキホン」ページでご紹介した通り、空気の振動を耳や皮膚(骨)で感じ取って
脳に伝わって音と認識するのが「聞こえる」という状態です。

そのため、「聞こえない」という状態は人によって段階(グラデーション)が異なります。
また、伝わっていく器官のうちのどこに聞こえにくくなる理由があるか、によって、何をサポートとして選ぶかの選択肢も変わります。

ご自身がもし、聞こえない と感じていらっしゃれば、その状態・程度は耳鼻科で聴力検査を受けて、先生に聞いてみると教えていただけると思います。
周りの人にもし、聞こえない という方がいらっしゃれば、その状態・程度を教えてもらうことで、お互いに過ごしやすくなったりするかもしれません。

ここでは、どんな段階=グラデーションがあって、聞こえにくくなる理由と併せて、どんなサポート手段があるかについてご紹介します。

[段階=グラデーション]
聞こえない という段階には、軽度・中等度・高度・重度という段階があります。
世界保健機構(WHO)の規定を世界中で使用しています。
https://www.who.int/pbd/deafness/hearing_impairment_grades/en/

WHO HP より抜粋
この画像では子供について紹介していますが大人も同じ規定になります。(生まれつき・子供のころからの聞こえにくさを持つ方と大人になってからの聞こえにくさをもつ方では、一部必要な情報が違う部分があるので、それについては別途記載します。)
左側からご紹介します。

Slight/mild 軽度の難聴
聴力検査を受け、平均聴力といわれる耳の聞こえの状態の数値が 26~40dB という値にあたるかたはこの軽度難聴といわれる聴力だとお医者様がいわれるでしょう。
静かな場所では聞こえにくさを感じることが少ないですが、騒がしい場所では会話が聞き取り辛いな、と感じる方が多いです。
<騒がしい場所>というと、どれくらいの環境がイメージされますか?騒音レベルという周りの音の大きさを表すのも dB を使用します。(建設現場などでよく掲載されていますよね)
日常で、お家のなかで過ごしている状態を数値にするとだいたい、20~45dB といわれます。
ショッピングモールやレストランのような場所がだいたい 60dB 前後、小学校の低学年の子供の過ごす教
室は、75dB にもなるといわれています。
騒音レベルが 70dB を超えると、難聴の症状がなくても声が聞き取り辛くなってきますので、軽度の難聴といわれる聴力だと、ショッピングモールなどのがやがやした中での会話が聞きづらいと感じることが出てくる、とイメージしていただければよいかと思います。

Moderate 中等度の難聴
聴力検査を受け、平均聴力といわれる耳の聞こえの状態の数値が 41~60dB という値にあたるかたはこの中等度難聴といわれる聴力だとお医者様がいわれるでしょう。
通常、人の会話の音の大きさが 60dB 前後といわれています。その会話の音が近い距離にいても聞き取り辛くなる状態です。
軽度・中等度の方の場合、話し相手に少し声をおおきくしてもらったり、注意深く相手の口元を見たりすることで、だいたいの言葉が予測できることが多いため、ご自身が聞こえつらいと感じる場面があっても、深く気にされないという方もいらっしゃいます。

Severe 高度の難聴
聴力検査を受け、平均聴力といわれる耳の聞こえの状態の数値が 61~80dB という値にあたるかたはこ
の高度難聴といわれる聴力だとお医者様がいわれるでしょう。
普段の会話の大きさでは聞き取ることが難しくなる状態です。かなり大きな音、例えば救急車のサイレンの
音の大きさくらいの音を、30 cmくらいの近い距離で出す必要が出てきます。

Profound 重度の難聴
聴力検査を受け、平均聴力といわれる耳の聞こえの状態の数値が 81dB 以上という値にあたるかたはこの重度難聴といわれる聴力だとお医者様がいわれるでしょう。
基本的に、かなり大きな音、たとえば電車が通るときのガード下の音くらいの音がしている、ということを感じとることが出来る状態です。
[理由]
耳のキホンのところでご紹介した下記の図を再度ごらんください。

耳の外側から中耳といわれるところまでが伝音系の器官といわれ、内耳から奥が感音系器官といわれます。
耳鼻科で聴力検査を受けたときに、伝音系の器官で理由が見つかった場合には、外科的な治療で聞こえにくさが解決することが多くあります。
外科的な治療で完治しなかった場合も、音を大きく伝える補佐をしてくれる器械(補聴器・集音器)を使うことで聞こえにくさが解決されやすくなります。
感音系の器官に理由がある場合には、理由の特定が難しいこともあり、また以下のような特徴的な状態になるので、補聴器・集音器を使う際にも様々な工夫が必要になります。

<感音性難聴の方におこりやすいこと>
■周波数信号の分析の力が落ちやすい
聴覚フィルタと呼ばれる機能が低下して、入ってきた音の周波数を分解・分析するのか難しくなりやすい
■時間的な感覚の分析の力が落ちやすい
時間分解能と呼ばれる感覚・知覚・認知の機能が低下しやすい=早口は難しい
■小さい音は小さく、大きい音は非常に大きく感じやすい
快適に聞こえる音の範囲が狭くなり補充現象という状況が起こり、音に順応するのが難しくなりやすい

また、伝音系と感音系の両方に理由がある、混合性の方もいらっしゃいます。

【それぞれに対するサポート】
どの難聴の状態でも、音という空気の振動の情報を、脳に伝えるためのサポートが有効です。
サポートには、
1)周りの人へ何がどうなれば、お互いに良い状態になるかを知ってもらうこと
2)自分に合った解決策としての道具を使いこなすこと

の 2 つが大切です。

1)はセルフアドボカシーとも呼ばれるものです。
自分がどんな状況なのかを周りの人に知ってもらい、どんな助けが有効・不要なのかをあらかじめ伝え、お互いの理解をえるという方法です。
『少し大きめでゆっくり話してほしい』とか、『話すときは顔をこちらに向けて口元を見せてほしい』といったことをお伝えすることで、周りの人も安心できます。
2016 年には「合理的配慮」と呼ばれる法律もサポートしてくれるようになりました。
(詳しくは国のサポートページから)
また家族や友人が聞こえにくいということがわかっている人は、声をかけるときに一緒に肩をポンっと軽くたたいて知らせたり、マスクを外して口元を見せたり、大きすぎる声は逆に聞こえ辛いので、むげに大きな声で話しかけたりせず、相手が気づきやすくなる工夫をすると、お互いがとても快適に過ごせるようにな
ります。
集合写真を撮るときに背の高い人は後ろに行って!といわれるのと同じように、口にして伝えた希望が自然に配慮されるように、聞こえなくても聞こえていても、お互いの理解を増やしていきましょう!

2)は自分に適した解決策を探し、使いこなすこと聞こえないことの解決策は 1 つではありません。
補聴器が合う人もいれば、集音器で十分に満足される人もいますし、補聴器・集音器には限界もあるので、一緒に補聴援助システムを使ってより便利に人の声を聞き取ることもできます。
また器械を使わず、手話・口話というスキルを身に付け、活用することも選択肢の 1 つです。
大切なのはまず、身近な人に相談したり、もし今既に補聴器・集音器をお使いであれば、お持ちの器械の 100%の力を活用できているかを確認したりすることから始めてみてください。

JINO でも、いつでも補聴器の専門家である認定補聴器技能者と、言語聴覚士の資格をもった専門家が相談をお待ちしています。(耳鼻咽喉科の先生との連携をしっかりとっているので、まずは耳鼻科の受診をお勧めしています。補聴器相談医の先生の検索は聞こえについて探すタブからご利用ください。)
まずは自分の今の聞こえない状態がどんな状態なのかをしっかり知っていただいてから、解決策を見つけていくことが大切です。
ご希望の方は HP の相談タブからお気軽にご連絡ください!)